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はじめに

こんにちは。OMOUMAMA株式会社CEOの長坂です。
今日は、主に美容系の商材を扱う企業のPR支援を行うgracemode社にて、生成AI研修を受講された3名の方々に、AI活用の実態と変化について詳しくお話を伺いました。
gracemode社は、業界最大級の発信力を誇る美容SNSメディア「EMME」と、SNSアカウント運用の知見を活かしたSNSマーケティング支援を軸に事業を展開している企業です。2025年より生成AI研修を導入し、各部署で大きな成果を上げています。
SNSマーケティングという「人の個性」が商品となる業界において、AIはどのように活用されているのか。研修前は「自分の仕事が奪われるのでは」という不安を抱いていたメンバーが、今では「AIと一緒に働く」ことで業務効率を大幅に向上させています。
本記事では、メディアチーム・広告チーム・コーポレートチームそれぞれの視点から、具体的な活用事例と成果をご紹介します。

お話を伺った方々

・岩崎麗央さん(メディアチーム):月間2億IMPの発信力を誇るEMME編集部として、日々美容・コスメの情報をSNSで発信するメディア事業部に所属。
・岩下智貴さん(広告チーム):企業の広告運用やデータ分析を主に担当するブランドパートナー事業部広告チームに所属。
・原田美紀さん(コーポレートチーム):人事採用をメインに労務・総務・広報と幅広く担当しており、コーポレート本部に所属。

インタビュアー

・長坂鴻輝(OMOUMAMA株式会社 代表取締役CEO)


研修前:AIへの期待と不安

長坂:まず、研修を受けることになった時、皆さんどんな気持ちでしたか?
岩崎:正直、半信半疑でした。私はメディアチームでInstagramの運用をしているのですが、「AIでコンテンツを作る」ということ自体に違和感がありました。インフルエンサーは自分自身がコンテンツですから、それをAIに任せたら意味がないのではないかと。
長坂:なるほど。「自分の仕事が奪われる」という不安もあったということですね。
岩崎:そうです。実は初回の講義までは懐疑的でした。「本当に使えるのかな」という気持ちの方が強かったです。
長坂:岩下くんはどうでしたか?
岩下:僕は研修前からChatGPTを少し使っていました。ただ、あくまで参考程度というか、メール返信を考えてもらうくらいで。AIはハルシネーション(嘘の情報)も多いので、あまり信用していませんでした。
長坂:原田さんはいかがでしたか?
原田:私もAIについてはほとんど知識がありませんでした。ChatGPTでメール返信を考えてもらうくらいは使っていましたが、Geminiのことは知っていたけど、「ChatGPTみたいなものかな」というレベルの認識でした。そもそもAIを業務で本格的に使えるとも思っていませんでした。


研修後の変化:3名それぞれの活用事例

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岩崎さん(メディアチーム):投稿文作成の時間を大幅削減

長坂:研修を受けて、実際にどんな変化がありましたか?
岩崎:まず、プロンプトの基本を教えてもらった時に「AIってこういう風に指示するものなんだ」と分かったことが大きかったです。それまでは、ただ適当に話しかけて、適当に返ってくるという感じでした。
長坂:具体的にどんな業務で使っていますか?
岩崎:一番効果を感じているのは、InstagramなどのSNS投稿文とキャプションの作成での仮案を提示してもらうことです。以前は1件のキャプション作成に30分かかっていました。それを1日3件書くと1時間半かかります。今はGems(Geminiのカスタム機能)を作って、画像を入れるだけで自動的にキャプションを生成できるようになりました。もちろん自分が伝えたいワードや感性などで最終決定するのであくまで草案という形ですが、客観的な意見も踏まえて参考にしています。
長坂:時間的にはどれくらい削減できたんですか?
岩崎:1件あたり15分くらい削減できています。週に換算すると、合計で4時間以上は浮いている計算です。
長坂:削減できた時間は何に使っていますか?
岩崎:Instagramの投稿をメインとしているのですが、他媒体のXなどへの投稿や、タイアップ投稿の作成にもっと時間をかけられるようになりました。あとは、Instagramの最新トレンドをチェックする時間も前以上に作れるようになりました。
長坂:インプットの時間も確保できるようになったんですね。
岩崎:そうです。それに、最近は商品レビューでも使っています。自分が実際に使った感想を簡単に入力すると、それを膨らませて自分の言葉で書いてくれます。自分らしさを保ちながら、自分の感覚を情報としてストックしておけるので、効率よく投稿文が作れるようになりました。
長坂:現在、1日どれくらいAIを使っていますか?
岩崎:デスクワークの時間でいうと、毎日3~4時間は使っています。撮影や編集の時間を除けば、ほぼ半分はAIと一緒に仕事をしている感覚です。
長坂:研修前は0時間だったのが、今は3~4時間。大きな変化ですね。


研修での「気づき」と感動の瞬間

長坂:ちなみに、どのタイミングが一番「これは使える!」と感じましたか?
岩崎:最初はリール動画の構成案を作った時ですね。「すごい使えるな」って思いました。でも、それ以上に大きかったのは、その前にプロンプトの基本を教えてもらった時です。「あ、AIってこういう風に指示するものなんだ」という気づきがありました。
長坂:プロンプトの打ち方を学んだことが転換点だったんですね。
岩崎:そうです。それまでは、ただ適当に話しかけて、適当に返ってくるという感じでした。公式LINEのキャラクターとか、ちょっと面白いおもちゃみたいな感覚だったんです。「使えないじゃん」って思っていたのが、「業務でも使えるぐらいに引き出せる」と分かった瞬間、感動が湧きました。
長坂:「おもちゃ」が「業務ツール」に変わった瞬間ですね。
岩崎:まさにそうです。そこから「これもできそう」「あれもできそう」とどんどん広がっていきました。Gemsでフォーマットを作れるようになったのも大きかったです。
岩下:僕も最初の研修で広告データの自動化を教えてもらった時、「これは革命だ」と思いました。毎朝、管理画面を開いてデータを手動で抽出していた作業が、一切不要になるなんて想像もしていませんでした。
長坂:「革命が起きた」という言葉、アンケートにも書いていましたね。
岩下:本当にそうです。3時間かかっていたデイリーレポート作成が30分になった時は、「自分が2人いる感覚」になりました。
原田:私が一番衝撃を受けたのはNotebookLMです。研修で教えてもらって、すぐに使い始めました。3時間かけて作っていた資料が30分でできるなんて、「すごくいい」としか言いようがなかったです。


岩下さん(広告チーム):デイリーレポート作成が3時間から30分に

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長坂:岩下くんは広告運用担当ということですが、どんな変化がありましたか?
岩下:研修で一番変わったのは、広告データの自動化を教えていただいたことです。以前は毎朝、各媒体の管理画面を開いて、データを手動で抽出して、スプレッドシートに転記して、レポートを作成していました。これだけで3時間かかっていました。
長坂:それが今はどうなりましたか?
岩下:今は全てスプレッドシートで自動的に反映されるようにしました。デイリーレポートは早ければ30分、長くても1時間で完成します。
長坂:3時間が30分。6分の1ですね。
岩下:そうです。本当に革命が起きました。浮いた時間は、クリエイティブ分析など、もっと頭を使う業務に充てられるようになりました。
長坂:具体的にどう使っているんですか?
岩下:午前中は常にGeminiを開いています。画面を2つ使っていて、1つはGemini専用です。デイリーレポート以外にも、広告のクリエイティブ分析や、今後は自社の実績データをAIに読み込ませて分析してもらうことも考えています。
長坂:現在、1日どれくらいAIを使っていますか?
岩下:午前中はほぼ全て使っているので4時間。午後もクリエイティブ分析などで2時間くらい。合計で5~6時間は使っていると思います。
長坂:ChatGPTからGeminiに変えて、何か違いは感じましたか?
岩下:ChatGPTの時はハルシネーションが多かったんですが、Geminiの方が精度が高いと感じています。ただ、一番大きかったのは「プロンプトの打ち方を学んだ」ことです。研修を受けてから、嘘の情報を除外してもらうように指示できるようになりました。
長坂:「自分が2人いる感覚」という表現がアンケートにありましたが、それはどういう意味ですか?
岩下:以前はもっと深くまで分析したいと思っても時間がたりず、レポートの質に満足していないところも正直ありました。でも今は、AIがサポートしてくれるので、全ての施策において分析も含めてコミットできていると感じています。配信の質も上がったと思います。


原田さん(コーポレートチーム):資料作成時間を10分の1に

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長坂:原田さんは人事・総務・労務と幅広く担当されていますが、どんな変化がありましたか?
原田:私が一番衝撃を受けたのはNotebookLMです。研修で教えていただいて、すぐに使い始めました。
長坂:具体的にどう使っていますか?
原田:例えば、研修資料の作成です。以前は3時間かけて資料を作っていました。今はNotebookLMに参照資料を読み込ませれば、30分で作成できます。
長坂:6分の1ですね。他にはどんな使い方をしていますか?
原田:候補者対応でも使っています。面談前に履歴書と職務経歴書をAIに読み込ませて、「この人はどういう人か」「どういう接し方をすればプレッシャーを与えずに話せるか」まで一緒に考えてもらっています。
長坂:それは興味深いですね。
原田:あとは、研修のグルーピングにも使っています。マネジメント層が若いメンバーが多いので、「どういう組み合わせだとワークショップが盛り上がるか」をAIに相談しながら決めています。
長坂:1日どれくらいAIを使っていますか?
原田:ミーティング以外のデスクワーク時間は、ほぼ8時間AIと一緒にいる感覚です。
長坂:8時間。ほぼ常にですね。
原田:そうです。一人で業務をしているので、アシスタントが入った感覚です。以前はできなかった業務にも手を出せるようになりました。


失敗談と乗り越え方

長坂:ここまで良い話ばかりでしたが、失敗したことや苦労したことはありますか?
岩崎:画像生成は未だにうまく使いこなせていません。ミッドジャーニーなども試しているんですが、業務に活かすのは難しいですね。ただ、この前、金木犀の香りを表現する背景画像を作る案件があって、その時は使えました。
長坂:徐々に使いこなせる範囲が広がっているんですね。
岩崎:あとは、Geminiのサイドパネル機能で画像を読み込めるようになればいいなと思っています。InstagramのアカウントURLを読み込んでほしいんですが、今はまだできません。
長坂:それはアップデート待ちですね。岩下くんはどうですか?
岩下:僕が苦労しているのは、もっと高度な自動化です。例えば、X(旧Twitter)の請求書を自動的にGoogleドライブに保存するような仕組みを作りたいんですが、まだ知識が足りません。
長坂:それはかなり高度ですね。
岩下:そうです。YouTubeなどで勉強はしているんですが、実務に落とし込むのが難しいです。ただ、AI研修を受けてから、こういう自動化に興味が湧くようになりました。
長坂:学習意欲が高まったんですね。


部署全体への広がり

長坂:皆さんがAIを使っている姿を見て、周囲のメンバーはどんな反応をしていますか?
岩崎:個人差はありますが、実際に使っているところを見せると「何これ、すごい」という反応があります。
長坂:実例を見せることが大事なんですね。
岩崎:そうです。抽象的に「こういうことができます」と言っても、なかなか自分の業務に落とし込めないんです。でも、実際に動いているところを見せると、すぐに「これ使いたい」となります。
長坂:Gemsを共有する仕組みを使ってシェアしていっている感じですかね。
岩崎:はい。私が作ったGemsをコピーして使えるようにしています。ただ、それでもプロンプトの書き方が分からない人もいるので、そこは今後の課題です。
長坂:岩下くんの部署ではどうですか?
岩下:広告チームでは、私が作った薬事チェック用のプロンプトを他のメンバーも使っています。あとは、Instagramのアルゴリズム変更を追跡するプロンプトも作りました。公式情報だけを集めて、毎日変更があれば教えてくれる仕組みです。
長坂:それはとても便利ですね。
岩下:SNSの会社なので、アルゴリズムの変化は重要で、これを自動化できたのは大きいです。


キャリアへの影響

長坂:AI活用スキルを身につけたことで、キャリアへの影響は感じていますか?
岩崎:すごく感じています。私は研修前、AIを全く使えませんでした。でも、メール編集や資料作成のスキルは、転職したり部署が変わったりしても絶対に使えます。周りの友達でもAIについて話す人はいないので、これは将来の仕事に絶対活かせると思っています。
長坂:市場価値が上がったという実感があるんですね。
岩下:僕は広告業界にいて、正直2年前から「広告運用は自動化される」と思っていました。でも、研修を受けて考えが変わりました。「AIに取られる」のではなく「AIを使いこなす広告運用者」になればいいんだと。
長坂:視点が変わったんですね。
岩下:そうです。AIと一緒に働くスキルを身につければ、業務効率改善のコンサルタントのような新しいキャリアも開けると思っています。
原田:私は人事という、ルーティン業務が多い職種です。日程調整やチェック業務などはAIに任せて、私は対面でのオンボーディングや社員フォローなど、AIにできない部分に集中したいです。将来的には人事戦略や経営戦略にも関わっていきたいと思っています。
長坂:AIに定型業務を任せて、人間にしかできない仕事に集中するということですね。
原田:そうです。業務の幅が広がりました。


これから研修を受ける企業へのメッセージ

長坂:最後に、これからAI研修を検討している企業の方に、メッセージをお願いします。
岩崎:私は最初、AIが業務で使えるとは思っていませんでした。プロンプトという言葉も知りませんでしたし、Geminiも知りませんでした。でも、軽い気持ちで試してみたら、思った以上に使えました。固定観念を持たず、「どんなものだろう」という軽い気持ちで始めることが大事だと思います。
長坂:まずは一歩踏み出してみる、ということですね。
岩下:僕からは、「やれば必ず帰ってくる」と伝えたいです。AI研修は自分から学ぼうとしないと身につきません。でも、学べば必ず業務が楽になります。10年後、20年後はAIを使える人材が求められる時代になっているはずです。今のうちに波に乗っておくことが大事だと思います。
原田:人手不足の企業は多いと思いますが、AIは仕事を取るものではなく、一緒に効率化していくパートナーです。とにかく一度受けてみてください。会社全体が成長していけると思います。
長坂:皆さん、貴重なお話をありがとうございました。


今後の展望

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長坂:最後に、今後の展望や目標を教えていただけますか?
岩崎:私はチーム全体にAIの便利さを伝えて、みんなで作業効率を上げていきたいです。自分自身ももっとどこに活用できるか探したいですね。NotebookLMなど、まだ使っていない機能も試していきたいと思っています。
岩下:学んだことが自分に返ってくるし、効率的な働き方ができるようになります。数年後はAIを使える人材が当然になってくると思うので、今のうちに先取りしておきたいですね。
原田:人事としては、AI活用を推進して、外資系企業に負けないくらいの生産性の高い組織を作っていきたいです。
長坂:3名の方に共通しているのは、「AIに仕事を奪われる」という不安から「AIと一緒に働く」という前向きな姿勢への転換ですね。


まとめ

gracemode社の事例から、AI研修導入による素晴らしい変化や活用を深めていただいていたことが見えてきました。
デイリーレポート作成が3時間から30分に、資料作成も3時間から30分に短縮されるなど、大幅な時間削減が実現しています。削減された時間は、単なる業務量の減少ではなく、クリエイティブな業務や戦略的業務への時間に変換されています。岩下さんの「自分が2人いる感覚」、原田さんの「アシスタントが入った感覚」という言葉が、その変化を端的に表しています。
全員がwith AIの新しい働き方にアップデートされたようです。もはやAIが基本的な業務には必須になりながら、生産性の大幅な改善が見られました。
特に印象的だったのは、業務の圧縮だけでなく、空いた時間で追加の価値を生み出している点です。さらに、自分だけでなく周りに活用を広めていく動きは、次世代の「AIリーダー」とも言える存在ではないでしょうか。
AI研修の導入を検討している企業の方にとって、gracemode社の事例は「自社でも実現可能」というイメージを持っていただけるのではないでしょうか。重要なのは、まず一歩を踏み出すこと。そして、実際に使ってみることです。岩崎さんの言葉にあったように、「固定観念を持たず、軽い気持ちで試してみる」ことが、AI活用成功への第一歩となるでしょう。
この記事をご覧になった方で、自社のAI活用をアップデートしたい企業様は、お気軽にお問い合わせください。


取材日:2025年10月9日 取材協力:gracemode株式会社